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東南アジアで『ジャパンスタイル農業』の時代が到来

昨今の日本国内の経済・政治のニュースの中でも、
とりわけTPP関連の話題は世間を賑わせた。
昨年の暮れにTPPはようやく参加国の合意に至った。
実際に実行されるには米国はじめそれぞれの国の思惑がありそうで、
まだまだ超えなければならないハードルは数多く残されている。
ところで、このTPP合意前後のメディアの報道が
少し変わってきたように感じるのは私だけであろうか?
TPPは何も農業だけを対象の産業としているわけではない。
医療、製造業など影響する領域は多岐にわたる。
日本の企業にとってはビジネスチャンスでもあり、
立場によっては経営環境の悪化にもつながる。
企業の事業領域によって経営者は悲喜こもごもだろう。もともと当社は10年ほど前から東南アジアにおける
食・農ビジネスチャンスの可能性を日本の経営者に伝えてきた。
その理由は、東南アジアをまわりながらそのことを実感したからだ。
これからの地球を守るビジネスのひとつが農業であると確信に至った。
このあたりは2010年に発刊した
「アジアで農業ビジネスチャンスをつかめ!」に詳しい。
発刊はTPP議論が世間を賑わすずっと前になる。
日本の農業を強くする方法のひとつは、
日本の産品をアジアなどの世界に売ることであろう。
それと同時に日本人がアジアの地においてつくったものを
日本が買う方法がある。
あくまで公平な貿易を原点として考えたい。
相手の立場でビジネスする視点が必要だ。
相手に売るならば、現地の商品も購入する。
それが共存共栄の原則になる。私たちは情報発信だけではなく、同時に食と農に密接に関係する
ビジネスをアジアの地に構築することにも腐心してきた。
例えば、現在はベトナム・ホーチミンに
日本食レストランを2店舗運営している。
しかし、それは単なる飲食店としての機能ではなく
『マルシェ&レストラン』として、
日本の食展開プラットフォームの機能も兼ね備えている。
すでに多くの民間企業や自治体などと連携してきた。
そのレストランは、経営者が集うビジネスサロンでもあり、
オンラインで日本とベトナムの経営者が交流できる場でもある。
日本へのインバウンドを誘発するための情報発信や
スクリーンツーリズムの一端を担うなど、
徐々に機能を向上させてきた。昨年末から生産システムの構築もスタートさせた。
つまり、アジア現地における農業の6次産業化だ。
ベトナムやカンボジアなどの現地で生産した食材や
その加工品などを利用した『マルシェ&レストラン』機能も用意する。
今年の中ほどの時期には当社が関与する農園もオープンする予定だ。
ベトナム農業のメッカでもあり、
観光地としても有名な中部高原地帯の都市・ダラットで
「ジャパンスタイル農業」をスタートさせる。
ここでは、すでに東南アジアで活躍されている
農業ビジネスのエキスパートである大賀さん
「メコンの大地が教えてくれたこと」)や
カンボジアで奮闘する私たちのパートナーである阿古さんの
協力も得ながら、日本式の現地適応型農業の仕組みを広げていく。

TPPの話題に戻す。
私たちはTPPが話題の中心になる以前から、
日本の農業問題の解決には東南アジアとの共存が
不可欠であると提言してきた。
わずか数年前、セミナーや面会の機会に国内で
こういう話をしようものなら、農業関係者や官公庁、
自治体の面々は苦虫を噛み潰したような表情をしていた。
ところが、昨年あたりから雲行きが変わってきた。
先ほど紹介した大賀さんや阿古さんがメディアや
ビジネスセミナーの主役として登場しだしたのである。
毀誉褒貶とはこういうことを言うのだろう。
当社や彼らは長期でのビジネス構築の視点である。
しかし、今の目先のことだけを考えれば
「まず日本の農業を守りましょう」という
発想に至るのも無理はない。
だから非難する気もない。
とはいえ、何事もそうだが中長期視点で志高く、
ビジネスを不断の努力で構築する人たちも少なからずいるのだ。

1月28日にこのおふたりにタイとカンボジアの現地から
登場いただきアジア食ビジネスセミナーを開催する。
今まではおふたりとも、当社が開催する食や農の関連セミナーにおいて、
日本の会場で何度か登壇いただいている。
しかし、彼らもお忙しい身だ。
日本に来るだけでもコストもばかにならない。
だからこそICTを賢く使って、
迅速に皆さまに有益な情報をお届けしたいと考えている。
これからは、海外であろうと国内であろうと、
ビジネス連携のためにはタイムリー性と俊敏さが不可欠である。

最後に、最新刊の「日本の未来をささえるプロ農家たち」
紹介させていただく。
ここに登場する方々は大賀さんや阿古さんのように
グローバルな目線で農業産業の発展にまい進するプロの方々である。
このように、これからもますます積極的に
情報発信を世界に向けて行っていきたい。
なぜなら農業は地球を守るビジネスにおける最重要テーマであるからだ。

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