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第7回 「ICT活用が“勝ち残る中小企業”の条件に」

2015年7月7日、新たな業務提携の発表をさせて頂きました。
株式会社パーパス様と日本とベトナムにおけるICTソリューション提供のための合弁会社を設立します。
ホーチミンとハノイには、視覚的にソリューションを確認頂けるショールームを開設する予定です。
お互いの企業が日本で培った経験とノウハウを、ベトナムという地で提供していきます。
パーパス様とは日本国内においても、業務提携契約を締結しており、長きに渡り協力関係を築いてきました。

次に狙うのは、ベトナムのICT市場です。今から胸が高鳴ります。

さて、私たちは日本国内における企業のICT導入・活用の現場に数多く立ち会ってきました。
約15年前に「だから中小企業のIT化は失敗する」を上梓させて頂いた際は、企業におけるICT活用はまだまだ途に就いたばかりでした。
ICTについて、多くの経営者が幻想を抱いていた時代です。
ICTを導入すれば、魔法の如く、従来の経営課題が解決すると思われていました。
特に、中小企業のICT導入は、その幻想と誤解を解くことからスタートします。
私たちが当時から皆さまにお伝えさせて頂いていたのは、「システムの前に人ありき」という、今となれば至極、当たり前のことばかりでした。

21世紀も15年が過ぎ、あの当時と現在では、ICTを取り巻く技術、環境も大きく変わりました。
しかし、新たな言葉が数多く生まれても、実は本質は、今も昔もそれほど変わらないと思っています。
例えば、「ビックデータ」もそのひとつです。かつての汎用コンピュータの時代は集約された大量のデータを中央集権的に処理していました。
言葉だけを見ると、さも新しく、先進的に見えるのですが、その内実に触れると、「昔と根底はあまり変わっていない」と感じることが多いのです。
結局、言葉を変え、見せ方を変えて、IT業界は数多くのムーブメントを生み出し、顧客を振り向かせようと躍起です。
なにも、IT業界に限ったことではないでしょうが、私たち経営者は、そのからくりをしっかり把握しておくことが大切だと実感します。

では、現代に生きる中小企業にとってICTはどんな意味を持つでしょうか?
ICTを使わずに企業経営が成り立つ企業もあるでしょう。
人間の本質に立ち返った、アナログの力は、ICT全盛の現代だからこそ見直されています。
しかし、現代の中小企業の選択肢において、ICT活用を否定することは現実的ではありません。
ここまで、企業のみならず社会インフラに浸透する技術・ツールを無視することはできないでしょう。

翻って、中小企業はもっとICTを刮目(かつもく)すべきだと思うのです。
かつて織田信長は、誰よりもはやく、火縄銃を合戦に導入し、旧来の徒歩と騎馬による戦いに革命をもたらしました。
火縄銃が日本に伝来したのが1543年です。信長が鍛冶に鉄砲を発注したのが1549年と記録には残っています。
日本伝来からわずか5年後です。この後、桶狭間の戦い、姉川の戦い、長篠の戦いなど、有名な合戦において、信長は火縄銃を用い、勝利をもぎとっていったのです。
鉄砲の存在を知り、胸を高鳴らせた当時の織田家は、今でいえば地方都市の中堅企業程度に過ぎません。

ICTは旧来の概念を覆す、さまざまなロールモデルを構築することが可能です。
私たちも、『オンラインコンサルティングサービス』をスタートさせていただく予定です。従来ならば、お互いに長距離移動が必要な打ち合わせ等をオンラインで実施しようというものです。

中小企業こそ、ICTを武器に変えるべきなのです。
逆の言い方をすれば、これから勝ち残る中小企業は、いかにICTを活用するかが、問われているのではないでしょうか?
この時代の潮流に併せ、私たちも柔軟かつ幅広い支援サービスのあり方を再考していきたい思います。