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日本の“おもてなし”は、アジアで浸透するか?

先月中旬に、当社で企画した上海ビジネス視察の一行に帯同させていただいた。

丁度、今年一番の寒波到来とのことで、上海に向かう前に現地からの一報を受けた私は、東京で急遽、コートを購入し上海に向かった。

それでも、直前にホーチミンにいて、日本の真夏並みの暑さのなかにいた私には、結構応えた。

幸先よく上海で初雪を見ることができたので、それまでの上海訪問のなかでも、妙に感慨深い旅路となった。

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今回は、10社近くの上海で活躍されている企業を視察した。

日系企業もあれば、中国人社長の企業も。

業種も飲食、サービス業、IT系、人材支援とさまざまだ。

発展著しい最近の姿に輪をかけて、来年の上海万博に向けての慌しい建設工事、諸々の準備が重なっているようで、道中はいつも以上の活気と喧騒に圧倒されながらのバス移動だった。

訪問先の経営者の皆さんの上海ビジネスを熱く語る姿は、本当に可能性のある熱い国なんだと改めて実感させられた。


特に印象深かったのが、レジャーサービス研究所のH女史だ。

今、上海でサービス業界における社員教育を手がけている方なのだが、彼女の考えや取り組みには非常に共感できるものがあった。

当社も、創業時から企業様の社員教育サービスに力を入れてきた。

今は、ベトナムでさまざまなローカル企業の幹部教育、社員教育を展開中の私たちにとっても、彼女の思いや苦労、そして、将来の中国でのサービス産業の行く末を語る姿は、本当に心強く思えた。

実は、この訪問後、彼女がサービス教育を実施中であるという日本の“つけ麺”のお店に招待いただいた。

開店準備中であったが、特別に対応していただき、中国人のスタッフから私たちはおもてなしを受けたのだ。

上海で食べる少し現地風にアレンジした日本風のつけ麺も美味しかったが、それ以上に、たどたどしく、まだまだ不慣れながら一生懸命サービスを提供するスタッフを見て、ある思いが頭に浮かんだ。

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アジアの諸外国に訪れた方々は、皆口を揃えていう。

「ホテルにしても飲食にしても、タクシーに乗っても、ゴルフをしても、どこに行っても、日本のサービスレベルに慣れた我々は、不満がたまる」と。

これは、発展していると思われがちなシンガポール、香港などでも、程度の差はあるが、日本人からすれば、アジアのどこへ行っても不満が募るということだろう。



一方、長年お付き合いしてる中国人の社長たちは、こういう。

「日本のサービスレベルはすばらしい。

このおもてなしの作法、心は是非、中国人もまねしたいし、中国にも浸透させたい」と。

彼らは皆、日本に住んでいる、あるいは日本に住んだことがある、ビジネスで深く日本に関った事があるなどの共通点をもつ方々だ。

だが、少し、本音で話し込むと、次に出てくるのは、「でも、中国人には無理だろう」とのこと。

根本から個人主義であるため、もてなし方を自分たちの力だけで身に付けるのは困難だと。

実は、ベトナムでも似たような話は多い。
ある日系の現地経験が豊富な社長に、社員教育を一つの事業として取り組んでいますと、説明すると、彼は「大切なことだけど、この国では砂漠に水を撒くようなものだね」といわれたのを、昨日のことの様に思い出す。


レジャーサービス研究所のH女史の想い、取り組みを聞いていると、同じ考えの人が、上海にもいたんだと心強く思った。

他にもたくさん、真剣に社員教育に取り組んでいる人がいるだろう。

私たちは、是非、そういう方々と連携しながら、日本の存在感をアジアで確立していきたいと考えている。

ある中国人社長が、「おもてなしの心は、日本人が中国に伝え、教えることが一番です」と私にいった。

お互いが、こういう気持ちになれば、時間はかかっても少しずつでも、“おもてなし”という考え、作法がアジアに浸透していき、日本人だけでなく、中国人、ベトナム人、何人でもが満足するサービスが定着していくだろう。

レベルの高いサービスを受けたがってるのは、間違いない。

こんなことを考えながら、10年後、20年後のアジア全体のサービス産業の発展に、少しでも寄与できればと想いを強くした今回のミッションであった。

それと同時に、若者中心に乱れていく日本も何とかしなければという思いも強くなった次第である。

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