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女性だから・・・誰が決めたのか?

先日(平成20年11月12日)、世界経済フォーラムは、
世界各国の男女平等の度合いを指数化したジェンダー・ギャップ指数を発表した。

やはりというか、残念というか・・・
2008年版で日本は前年より更に順位を下げ、98位に後退したとある。
ちなみに、主だった国を見てみると、1位から順に、
ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、アイスランドが続き、
先進国では、ドイツ11位、イギリスは13位、フランス15位、
米国27位となっている。

何かと気になる巨大な隣国・中国は57位だった。

ちなみに、この指数の持つ意味をインターネットで調べてみると
社会進出の度合いなどの達成レベルではなく、
格差に焦点を当てていると解説している。

その理由は、その国の社会・経済発展度に数値が左右されることがあるからという。

指数は、「経済・教育・健康・政治」の4つの分野が対象となっている。

経済では、労働人口、賃金、管理職、専門職などの男女比、
教育では識字率と初等教育、中等教育および高等教育の就学率の男女比、
健康では平均寿命と出生時の男女比、
政治では議員、閣僚などの人数の男女比をもとに計算されている。

さらに詳細を見てみると、日本は健康の分野では1位である。
一方、経済、政治の分野では83位と格差が目立つ。

教育の分野でも、識字率、初等、中等教育では1位だが、高等教育が76位である。
この指標、日頃、実感している感覚と結構一致している。

実際、私が社会人になってからは、少なからず女性と仕事する
機会も数多くあったし、わが社は老若男女多国籍軍を標榜しつつ、
女性がキーパーソンとなっている。

仕事柄、女性社長との接点も多いほうだと思う。

自分の周りでは、比較的女性は活躍していると映るが、
日本全体で見ると、女性の活躍という意味では後進国だ。アジアの各国と比べると、さらに、“遅れ”を実感する。

例えば、タイは前述の統計で40位につけている。

タイでビジネスを行っている人に聞くと、皆ほとんど同じことを言う。

「男性は働かない。女性が優秀です」

タイは日本と違って、女性が基本的にずっと働く。

子供を持っても、家族の大黒柱として働く。 

会社を見ても、幹部クラスは女性が多い。

確かに、男性より凛としていて仕事ができそうだ。

優秀な社員を喉から手が出るほど欲しい経営クラスは皆、議論の余地無しで
「女性が優秀です」と断言する。
大学の進学率を見ても、日本のそれとは違って、高学歴者の女性比率も高い。
近隣国のベトナムでも社会的背景に違いがあるが、概ね似ている。

中国も日本よりはずっと女性の活躍が目立つ。

1986年4月に男女雇用機会均等法が施行された。

もうすでに20年以上が経過した。

もちろん、法律だけで変わるとは到底思えないが、
それにしても国の狙いとは裏腹に周辺国にもどんどん差をつけられている。

生活基盤やライフスタイルにも左右されるので、一概には言えないが、
タイやベトナムは女性が仕事も含めて生活全般の中心である。

一方、日本は、専業主婦というパターンが多い。

この生活スタイルが必ずしも、悪いともいえない。

男性から見たら、そのおかげで、仕事に没頭できるというのも事実だ。
考えてみると例えば、高校の進学指導でも、女性だから文系にという話は今でも良く聞く。
日本の外に出てみると、日本の社会全体が、「女性だから・・・」と
固定観念に縛られている国に見えてくる。


もちろん、職場における『ガラスの天井』は日本だけに限った話ではないが、
事実上、大企業になるほど女性登用の道は限られている。

一方、中小企業でも似たようなもの。

職場には女性が存在するが、本当の活用の仕方が分かっているとは言えない。

ただ、最近のベンチャー企業は少し異なるようだ。

ビジネスにおいて、あらゆる分野で男性が勝っていることはあり得ない。

それぞれ、男女限らず言えることだが、大抵、得意領域がある。

しかも、これからのビジネスは奪い合いではなく共存。

日本だけでなく、アジアのどの国もサービス業が伸びていく。

介護福祉など女性に適性のあるビジネスは数多くある。

日本が直面する労働力不足も深刻さを増してくる。
考え出したらキリがない。

実際の現場では、既に変化は始まっている。

職場での男性の軟弱化が進み、特に20代は女性が精神的にも相当しっかりしている。
中には何を勘違いしているのか、職場で女性に母性を求めている輩もいる。
掃除は、女性がするものと決め付けたままの頑固親父もいる。
石頭の一部男性ビジネスパーソンがいる日本ではなく、
いっそのことアジアに出て、自由奔放に活躍する女性が増えないものか。
日本に少しでも変革をもたらすことができると思う。

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