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BRAIN NAVI25号 近藤昇コラム「社会が変化し、会社も変化し、そして働き方も変わる」

第25回 社会が変化し、会社も変化し、そして働き方も変わる

 私たちの働き方が変わり始めています。高度経済成長期に形成された現代の働く
仕組みは、その後の社会の変化に適応できず、さまざまな問題が生じています。
そして、その問題は、政府も企業も置き去りにしたままだったといえるでしょう。
そんな働き方について多くの方々が疑問符をつけはじめたのは最近のことです。
ようやく日本人も目覚めてきたかもしれません。

 日本の最大の課題は“豊かになったはずだが、心の豊かさがない・・・”という
点に尽きます。新興国や途上国に行けば、日本よりはるかに貧しい人々と会話を
交わすことも少なくありません。果たして本当に幸せなのはどちらなのか?
常に自分自身に問いかけています。貧しいからといって心まで貧しくなるわけでは
ありません。彼らの屈託のない笑顔を見ているとつくづく感じます。

 一方、日本は豊かであるのは間違いありません。しかし、私たちの生活する環境は
日増しに悪化しているように思えます。要するにストレス社会がますますエスカレート
しているのではないでしょうか。とはいえ、世界を見渡せば、先進国の課題はどこも
似ている。日本の課題は地球規模の課題と言いかえることができるわけです。
その地球全体で進行しているのがICT革命です。テクノロジーの進化は留まるところを
知りません。世界中がインターネットでつながっているといっても過言ではありません。
それは地球規模で一体化することを意味しています。世界中の人々と会話をしたり、
動画をシェアしたり、知恵や経験を共有することが可能な時代です。世界の距離は
一気に縮まりました。しかし、その地球は人類の飽くなき発展と進化のため悲鳴を
あげだしています。地球温暖化問題を見ると、距離が縮まったはずの世界各国の
足並みがどうにも揃いません。

 会社は社会の上に成り立っているものです。会社が社会の変化をリードしている
わけではありません。地球規模の問題解決や生活する人々が豊かに幸せに暮らせる
社会の構築という視点で見ると、そんな会社での働き方が数十年間同じままでよい
わけがありません。土台となる社会が劇的に変化しています。当たり前のことですが、
会社も社会の変化に適応していかなくては、そこで働く人たちから悲鳴があがるはずです。

 この1年で読んだ本の中で、次の3冊は私の経営的な視点と個人としての視点の
両面で大変参考になったといえます。まさに、これからの生き方、働き方の羅針盤
となります。

●「GIVE & TAKE『与える人』こそ成功する時代」(三笠書房)
Giveが称賛される時代になってきたことは歓迎です。しかし、単なるお人好しの
Giverではビジネスの世界では評価はされません。やはり、知的なGiverを
目指したいと思います。社会貢献にしても、真のCS経営にしても、結果を伴わせる
ためには利口さも必要になります。

●「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略
(東洋経済新報社)
人生100年時代を迎え、これからはマルチステージで生きていくことを余儀なく
されます。つまり、会社依存でなく、自立して生きていくことが求められます。
人生何回でもチャレンジができます。シニアだけでなく、若者や子供たちにもこれから
の生き方のひとつとして教えてあげたいと思っています。

●「WORK SHIFT ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>
(プレジデント社)
ICT革命真っ只中の中、人間らしく生きるための示唆がふんだんに盛り込まれている
1冊でした。

私はこれらの作品は共通のメッセージを私たちに発信していると思っています。

「会社依存ではなく自立せよ」
「人的ネットワークをゆたかにせよ」
「自分が好きな場所で好きなことをせよ」

こんなメッセージを感じとることができたのです。

 弊社も創業から24年目を迎えました。老若男女多国籍メンバーで活動を
してきたし、これからもますますその傾向には拍車がかかると思います。
常に変化に適応してきた23年間ともいえます。多くの会社や人々の指針と
なるべく、自らが実践を重ね、皆さまのペースメーカーであり続けたいと思います。