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どこまでやるのマイナンバー 本質的に判断すると

マイナンバーの運用開始が来年1月に近づいています。日本年金機構の情報漏えい問題で、スタートが遅れるかもしれないと
いう話もありましたが、今の様子ですと、予定通りスタートするのでしょう。

マイナンバーについては、
政府による統制だの、漏えいが怖いや、税金を今より多く徴収されるとか、
誤解も含めて、まことしやかに語られています。

中小企業の経営者からすると、また政府が面倒なことを、
という意見もあるでしょう。

最近でこそメディアの論調も落ち着いたものも見られますが、
意図して煽っているもの、
あるいは、本質をわからないままの記事など、
あふれております。

何が正しいか、何が本質かを考えるために、
少しだけ制度の概要を説明しておきましょう。

日本語では社会保障・税番号制度と称されていますので、
番号の利用もこの2つに限定されるわけです。
企業経営の立場から見れば、
健康保険や厚生年金など各種社会保険の手続きと
所得税、住民税などの支払いに関するものだけです。

繰り返しておきます。
マイナンバー対応が必要なのは、
社会保険と税金払いに関するところだけです。
従業員50名未満なら産業医の選任をしなくてよいとか、
個人情報の保有件数が5000件未満だと個人情報取扱事業者にならないとか、
そういう制限はなく、
企業規模の大小や業種にかかわらず、
すべての企業がやらなければならないことだ
ということがわかってもらえると思います。

個人情報保護法が施行された時を思い出します。
当時、個人情報取扱事業者に該当しないように、
今まで集めてきた個人情報を捨てよう、
ひいてはこの事業を手仕舞いしようと思うと相談を受けたことがありました。
そんなことまったくしなくてよいとは伝えましたが、
そのくらい、個人情報保護法の適用から逃れたかったのです。
今となっては笑話ですが、
当時は、法律の罰則がある、多額の損賠賠償請求がおきうると
煽られていたからです。

ただ、いったん法律が施行されて、
思ったほど何も起きないことがわかると、
セキュリティ対策など手抜きがはじまったり、
個人情報に意識を向けないなどの反動がありました。

その後、BCPやJ-SOXなどでも、
似たような煽りが繰り返され、
企業リスクにかかわる法制度に対して企業サイドも
まずはコンプライアンスと掲げる一方で、
いつしか、「いつものアレだろ」と
オオカミ少年的に受け止められるようになりました。

そこに、マイナンバーです。
マイナンバーは、逃れることができない全企業の義務でもあります。
しかし、日本の中小企業400万社すべてが、
ログ管理や適切な廃棄などセキュリティ対策がまともにできるわけがありません。
そのあたりは政府もわかって進めています。

その背景もわかれば、不必要に恐れる必要はありません。
だからといって何もしなくてよいというわけでもありません。

まずは、正しく理解することです。
正しく理解して、本質を見れば、
適切な作業量で、適切なセキュリティ対策ができ、
生産性の向上、社員もハッピーという仕組みをつくることができます。

本質とは何か、ということを一つ例をだしましょう。
企業担当者は、マイナンバーの収集をどのようにしたものかに
頭を悩まされています。
また、集めたマイナンバーの保管方法もどこまで鍵をかければよいのか
と判断基準が持てていません。

マイナンバーの漏えいがどれくらい危険なことなのか、
本人とってリスクのあることなのかを考えるとよいでしょう。
正直、マイナンバーが漏れることより、
毎年年末調整前に従業員から回収している扶養控除等申告書(通称まるふ)のほうが、
漏れたらよっぽどまずいと思いませんか。

マイナンバーはただの12桁の数字。
まるふには、住所、家族構成から、年収や、
保険料、住宅ローンの情報までてんこ盛りです。

中小企業も毎年、まるふを回収して、保管して、処理をしているわけです。

マイナンバーをどうこうするというよりも、
今のまるふの取り扱い方法見直したほうがいいんじゃないでしょうか。
それが、問題なし、ということなら、
マイナンバーもその扱いに準ずることになります。
より漏えいしてほしくない情報の取り扱い以上に、
厳格に取り扱う理由などないからです。

マイナンバーがなんたるか、
その情報の重みをしって、対処をすれば右往左往しません。

小銭入れに鍵かけて大事そうにあつかっている人が
札入れをいれたジャケットをハンガーかけっぱなしとか、
スマホをファミレスのテーブルに置きっぱなしで席たつとか、
そんな滑稽なことはやめておきましょう。

7月23日、マイナンバーの本当のところがわかるセミナーやります。
東京と大阪とオンラインでつないでやります。
http://www.bwg.co.jp/seminar/2015/kenkyu20150723.html

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