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BRAIN NAVI18号 近藤昇コラム「アフリカは一見に如かず」

第18回 アフリカは一見に如かず

9月19日~25日の間、ルワンダとケニアを訪問しました。今回はルワンダで弊社の
ブリッジサービスの展開を目的とした会社の設立申請を行い、ケニアでは今回の訪問で共に
行動いただいた会宝産業・近藤会長のご厚意で現地ビジネスパートナーなどをご紹介いただきました。
ルワンダに設立した会社は「ブレインワークスアフリカ」。このルワンダを起点として、隣国・ウガンダ
では農業分野、ケニアにおいても何らかの事業分野で足がかりをつくっていきたいと考えています。
まずは、無事に会社設立は完了し、いよいよ活動開始となります。

今回のアフリカ訪問は様々な気づきを私自身にもたらしてくれました。同時に、広がる街並みや
田園風景がこれからの日本企業とアフリカとのかかわり方を示唆していたことに改めて実感する
ことができました。
ルワンダという国は人口1000万人強で国土面積は日本の四国の1.5倍ほど。そんな小国が
目指しているのはシンガポールです。小さいが存在感は強大。世界の国々が無視できない存在です。
もちろん、海外から進出してくる企業に対しても寛大で優しい。会社設立も簡便で、低い基準に
設定された法人税も進出企業にとって大きな魅力です。そのような優遇政策により、各国の
ヘッドクォーター機能が集結し、いわばアジアの情報ハブとして確固たる地位を確立してきたのです。

ルワンダはまさに、そんなシンガポールの存在をアフリカにおいて目指しているのです。だからこそ、
会社設立もオンラインで事前準備しておけば、簡単に完了できます。また、アフリカにおいてはICTの
整備状況も首都キガリにおいては一定基準は到達しているのではないでしょうか。9月21日には私も
現地からセミナー講師としてオンライン経由で講演させていただきました。宿泊したホテルの共用
スペースをお借りして、1時間ほどお話させていただいたのです。多少、映像や音声でお聞き苦しい
ところはあったかもしれませんが、総じて合格点だったかと思います。つまり、ルワンダも十分に
“繋がる”範囲内にあるわけです。そう考えると、アフリカが一気に身近に感じられるから不思議です。

今回はルワンダの首都キガリだけでなく、郊外まで含めてさまざまな場所も見学しました。
首都キガリは本当に綺麗な街並みで、路上にゴミもほとんど落ちていません。まさにICT立国として
存在感を示したい政府の思惑も透けて見えます。人工的な印象を与えつつも、その清潔感や
クリーンさを訪問者にPRするためには十二分の効果があるでしょう。ところが、ひとたび郊外に
出るとのどかな田園風景が広がり、丘陵地帯の合間を縫って広がる田畑で働く人々の姿を見ると、
なるほど首都のイメージとガラリと印象が変わります。ICT立国を標榜する国の方向性との
コントラストに最初は戸惑いを覚えるほどです。調べてみればわかるが、ルワンダの基幹産業は
紛れもなく農業です。人口の80%以上もの人々が農業に従事しているのです。ICTの本来の役割は
このような田畑で汗を流す人々の生活に貢献することであり、そのようにルワンダも発展することを
願っています。

ルワンダのこのギャップこそ、同国がICT立国へと成長するために避けては通れない道だと
思っています。ルワンダに会社を設立した立場からも、同国にはこの課題をクリアしてもらい、
今までのアフリカのイメージを刷新してもらいたいです。

余談ですが、ルワンダの風景はベトナムの高原地帯で農業のメッカとなりつつあるダラットに
酷似しています。標高が高く、気温も適度。やはりこの風景を見ると、ルワンダにも農業ビジネスの
可能性が十分にあると実感できます。それだけでも今回の訪問の収穫は大きかったといえます。
やはり、百聞は一見に如かず。情報の少ないアフリカこそ、一見に如かずの意味が身に染みました。