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居酒屋とロボット、そしてアジアの留学生について考える

居酒屋で働くアジアの留学生が増えてきている。
なにも今に始まったことではない。
ただ、ここ数年前から顕著である。
日本国内のコンビニや居酒屋などのアルバイト不足が
騒がれてすでに久しい。
若者人口の減少と若者のサービス業における
アルバイト離れが重なって、年々、サービス業の現場には
人手不足が目立つようになってきた。
そんな中、中国人のアルバイトが目立つようになった。
最近では、ベトナム人も増えてきた。
昨年、留学生の数が中国に次いで2番目になったのだから、
印象と実態は合致しているだろう。
つまり、このような業態における多くのアルバイトは
留学生ということになる。20160616_1_1私がよく通う不動前の居酒屋ではミャンマー人が働いている。
学生街にあるように学生客中心の居酒屋であれば、
サービスの良し悪しを気にしているのではなく、
腹一杯食べて、安くて、騒げるところを好むだろう。
だから、日本人が好んで求める少しハイレベルの
サービスは必要ない。
ところが、最近は人手不足の深刻化により接待で
使えそうな飲食店でもアジアの留学が増えてきた。
以前から、居酒屋で海外の人が働くことはあったが、
大抵は日本語のレベルが高く、サービスも身についていた。
ところが、今は違う。
それらのスキルもままならないまま、アルバイトも
目につくようになった。
これは店舗のマネジメントの問題でもあるが、
じっくり育てている時間もなく、ある意味では
猫も杓子も…という心境なのだろう。

こんなサービス業界の変化の中、日本の
良いサービスに慣れすぎた日本人客がどう考えるか、
そしてどう反応するかが、日本のサービス業の
行く末に大きく影響すると常々思う。
特に、ベトナム現地でレストランビジネスなどに
関わっていると、サービス業の人件費が占める重みを
ヒシヒシと実感する。

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東南アジアなどは、まだ、人件費が日本の1/5から
1/10ぐらいである。
仮に日本で客単価5000円のレストランレベルであれば、
ベトナムのホーチミンだと、客単価1500円前後だろう。
人件費は1/7ぐらい。
利益確保は日本のそれに比べるとずいぶん楽だ。
比較してみれば、日本の国内での飲食業は
どれほど大変かと実感する。

今のベトナムのような新興国の課題は、
日本のようなサービスレベルにまったく達していないことだ。
すでに味は日本のちよっとした居酒屋と遜色ない
レベルまできている。
いきなり、今の日本のレベルはあり得ないが、
次の差別化のポイントのひとつがサービス力になる。
そういう意味でも、サービス力の伸びしろは
まだまだいくらでも残されている。
日本の経営者がこういう伸び盛りの新興国で飲食業に
チャレンジしたくなる理由のひとつでもあるだろう。
ビジネスがシンプルで楽しくできる場所であることは
間違いない。

こんな比較をしながら、日本で飲むことが多い私は、
日本の居酒屋でアジアの留学生の活躍ぶりには
とても関心がある。
一方、先進国である日本の世の中はそろそろ
サービス業にもロボットが本格登場しそうだ。
すでに長崎ハウステンボスのホテルでは受付が
ロボットだったりする。
介護は単なるサービスとはいえないが、
この分野にもロボットが登場している。
すでに回転寿司などは自動化が進んでいる。
ところで回転寿司を頻繁に理由するお客さんが
人によるサービスを期待しているだろうか?
私も時々行くが、その度に感心する。
とにかく自動化の進化が目覚しい。
注文もほぼオンライン。
人件費の削減には大いに効果を発揮しているだろう。
最近はデータマイニングを使ってお客様に
タイムリーに寿司を流す…こんな店まで現れたという。
そうすると、あとは接客と会計くらいが
人間の仕事に思えるが、実はこれもロボット化の
範疇だ。
それでは、お客様からのクレームや突発的な対応は
どうするか?
私はオンラインでセンターのオペレーターが
テレビ画面に登場すれば足りると考えている。
そもそも、回転寿司に行く人は大抵のお客様が
人によるハイサービスは求めていないだろうから。

ICTビジネスに30年関わってくると、
ついついこんなことを考えることも多い。
居酒屋の話に戻すと変化していく
サービスの在り方に満足するかどうかは
結局はお客様次第ということである。
少なくとも学生中心でちょっとほろ酔いセットの
ビジネスパーソン中心の店では、
すでに店員は不要だろう。
ICTとロボットで十分である。
では、人にサービスして欲しいと思う欲求との
境目はどこだろう。
行きつくところは料金との兼ね合いだ。
お客さんの期待に対して、サービスの提供、
結果としての満足度とそれに対する対価に行きつき、
サービスがハイレベルな店は自然と単価が高くなる。
人によるおもてなしを期待しているわけだから、
その分高くなるのは当然だ。
棲み分けの時代がもうそこまで来ていると思う。

それともうひとつ、ロボットと関わりを
意識し始めた日本国内での生活者が
考えておくべきことがある。
随分前から、海外の労働力に支えられてきた
日本という国を、である。
サービス業などのアルバイトは最近のことだが、
随分前から製造業、農業、漁業などの一次産業など
技能研修生中心の労働力に支えられて
日本の経済は成り立っているし、私たちの
便利な生活も成立している。
こんなことも知らない、若者が増えてきた日本は
この先にどうなるのか?
もっとも、大人でもこういう現場の現実を
知らないで働いている人が最近増えている。
特に、都心の大企業で働く人は無関心のようにも映る。
自分たちがやりたくない仕事を結果的に
海外の労働者に頼る。
昨日の日経新聞夕刊にも出ているが、
不法就労も後を絶たない。
日本の労働者不足の深刻さがその背景にある。
そろそろ日本人も考え直す時期に来ている。
もちろん、法律に準拠しお互いの利害が
一致していればよい。
海外にはたくさん日本で稼ぎたい人もいる。
相手のメリットを考えて仕事の場の
提供があればよい。
しかし搾取型はいけない。
何事もバランスが大切だ。
少し視野を広げて考えると、日本はそろそろ
生活者がロボットを活用する意識と同時に、
そういう現場の労働を誰に頼るのか?
自分たちなのか?
海外の人なのか?
ロボットなのか?
このことをセットで考える時代に
突入しているようにも思う。

今、アジアのアルバイトはほとんどが留学生だ。
日本では原則、研修生などのアルバイトは
認められていない。
それにしては、働いている人が多くないか?
結構曖昧にしたまま自分たちの都合だけで
働いてもらっている日本人。
現実から目をそらしているだけとは言えまいか?

ロボットだらけの居酒屋が増える前に
この過渡期を近隣のアジアに支えてもらっている
この現状を日本人はもっと知るべきではなかろうか。

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