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農業は『日本の信用ビジネス』の代表選手

日本や日本人のアジアにおける存在感の薄さは、
このブログでも何回か取り上げてきた。
最近、日本側から見たら、随分とアジアに出ていく経営者が
増えたように錯覚するが現実は違う。
以前が少なすぎたのであり、相対的にそう感じるだけのこと。
日々、アジアの現地で活動していると、
日本よりすでに先行している諸外国の加速度的な
進出ラッシュに驚くばかり。
このままでは、さらに日本の出遅れ感が
広まっていくだけだろう。
これからの日本がどうやって後発組として
勝負を挑むかが焦点になる。
私は、その鍵は“日本人らしさ”を軸にした
ビジネスにあると確信している。特に東南アジアにおいてアジアビジネスに
初めて乗り出す経営者が多く目に付くようになった。
これは歓迎したいところだが、
どうも勝負するところを間違えている方が
多いように感じる。
彼らは、自分のメリットや利益だけを優先して
ビジネスチャンスを見つけようとしている。
これでは本当に価値や意義のあるチャンスは
見えてこないのではないか。
日本人らしさを真剣に考えて、
それをアジア進出の軸に置くべきなのだ。ビジネスでもよく引用される『ジョハリの窓』がある。
対人コミュニケーションにおける自己と
他人の相対関係をグラフ化したものだ。「自分の知っている自分と自分の知らない自分」
「他人の知っている自分と他人の知らない自分」これらを組み合わせると4つのパターンができる。

まずは「自分も知っていて他人も知っている自分」。
これをアジアでの日本人に当てはめると、
日本人は『良いヤツだ』という見方である。
実際、日本人は約束を守るし、優しい。
さらに、行儀が良い。
このことは日本人評としてよく耳にすること。

さて、ビジネスで意識するべき部分は
盲目になりがちな「自分が知らないで
他人が知っている自分」である。
アジアの現地の方々が思っている
日本人の価値に気づいていない人たちが多い。

自分たちが何を期待されているのか?
相手が何を要望しているか?
日本人と何がしたいのか?

こういう意識で相手のことを考えていくと、
ビジネスのヒントが見えてくる。
今のアジアでは、まずは相手の立場で
物事を考えることが一番重要なのだ。

東南アジアの中でも特に注目度が高い
ベトナム。
ここでもようやく日本の存在感が
見え出したところだ。
そんな中で、10年前と比べて
大きな変化を私は感じる。
日本人とビジネスしたいという声は
格段に増えてきたのである。
それも具体的に。
様々な分野の経営者と付き合う中で、
かれらの共通点がますますハッキリしてきた。
日本に期待していること、日本にして欲しいこと。
それは『信用ビジネス』なのだ。

ベトナム人と長年、共に活動していると、
ふと不思議な感覚に陥るときがある。
それは「ベトナム人がベトナム人を信用していない」ことだ。
日本ではほとんどない感覚であろう。
正確に言うと、ベトナム人そのものを
信用していないのではなく、
ベトナム人が作った商品やサービスを
信用していないのだ。
言うまでもないが、中国でも同じ話をよく聞く。
ベトナム人は、同じ国民が作った商品や
サービスなどを信用していない。
では誰が作れば信用するのか?
ベトナムにも数多くの中国製品が輸入されている。
リンゴなどは典型である。
しかし、農薬の問題などもあり、
ベトナム人はあまり手にとらない。
それどころか、ベトナム人が私に
そのことを注意してくれる程である。

これをビジネスに置き換えても同じこと。
ベトナム人の声をまとめると、
日本人が関わらないと信用できないビジネスが
いくつかある。
まずはキーワードで考えてみる。

「安心」「安全」「健康に良い」「品質がよい」
「サービスが良い」「クレーム対応力」

これらのキーワードは日本人と密接している
キーワードとしてすぐに思い浮かぶ。
具体的な分野としては、
赤ちゃん用の商品、衛生管理、危険対策、
交通安全などが該当するだろう。
そんな中、どこの国でもそうだが、
『食』に対する信用が一番関心は高い。
安心・安全で健康に良い。
日本と同じようにベトナムでも健康ブームである。

中国の野菜や果物は食べたくない。
ベトナム人が作ったものでも仕方なく食べるが
本音は食べたくない。
生活の余裕が出てくれば、信用できる日本人の
作ったものが食べたいという欲求が高まる。
日本のものとは、必ずしも日本から
輸入したものだけとは限らない。
アジアの現地で日本人が手がけていれば信用は高まる。
日本人が農薬の管理をし、品質に対して責任を持つ。
そして加工する。
レストランも運営する。
このことが一番望まれているのである。

もちろん、日本の農業の昔を忘れてはいけない。
今のアジアの農業と同じ現状が私の子供の頃にあった。
農薬の規制などなく、安心安全は無視され、
売れることだけを優先した農業の時代が日本にもあったのだ。
アジアの人は、こんな昔の日本のことまでは知らない。
日本は、課題を改善してきた国であることを、
日本人も歴史に学び、自覚を持つ、
アジアの人達にもそれを伝える。
同じことをやっていて、それを改善してきたことを。
そうするとさらに信用が増すだろう。
いつか農業分野においても、
日本人の知っている日本と
アジア人の知っている日本の認識が
合致する日が来ることを願って活動を続けたい。
日本人とアジアで農業することは、
アジアの人達が一番望んでいることでもある。
信用ビジネスの代表選手として、
大賀さんのような実践者が増えることを強く願う。

 

 

 

【関連リンク】

オーガニックをアジアで実践する農業の六次産業化

日本だけでなくアジアでの農業の六次産業化が脚光を浴びてきた

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