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”貧困と洪水”のバングラデシュには、世界有数の都市があった

今月の中旬にホーチミンから飛び立ち、ミャンマーのヤンゴンで3日間を過ごした。
その現地で目の当たりにしたのは、にわかミャンマーブームに浮き足立つ
日本企業の「ミャンマー詣で」の実態だ。
予想はしていたが、渦中の現地で見えたことは、
メディアや噂に乗せられて浮かれすぎている日本という現実だった。
勿論、今からビジネスの仕込みは大切だが、
だからといって今はじめなければ手遅れになるということは決してない。
以前も本ブログで、ミャンマーブームについて書いたが、現地を訪れてみて
本当にビジネスチャンスが訪れるのは10年以上も先のことだと再度、確信した。
もしご興味があれば、お読みいただければ幸いである。http://ameblo.jp/kondoh-blg/entry-11228196892.html

さて今回は、ヤンゴンからタイのバンコクを経由して、
バングラデシュの首都ダッカに入った。
乗り継ぎ便の関係で、ダッカに到着したのは夜中を過ぎ、
ホテルにチェックインして就寝した頃には、既に3時を回っていた。
日常じゃない時間帯での初入国ということもあり、
街中の明かりはまばらで、市街の様子もあまり掴めず。
予想以上にりっぱな空港を見てはいたものの、
訪問前より抱いていた【貧困の国・バングラデシュ】という先入観は
朝を迎えるまで消えることはなかった。

バングラデシュといえば、やはり多くの日本人の脳裏には
数年前の大洪水が焼きついていることだろう。
政治や洪水などの影響もあり、データをみても
バングラデシュはアジアの最貧国だ。
私も色々とアジアの主要都市を巡っている中で、
バングラデシュに関しては、十数年前のベトナムのホーチミンより遅れているだろう。
あるいは今のミャンマーとどっこいどっこいか・・・くらいのイメージしかなかった。

一夜明けて、最初の訪問先は大通り近くにあるJETRO。
ホテルから大通りに出て、街の様子を目の当たりにした時には既に、
持っていた先入観が崩れかけていた。
現地所長からバングラデシュの現状の説明を受けて、
更に私は大きく誤解していたことを思い知った。

確かにバングラデシュは世界のアパレル工場として有名ですが、
本当はマーケットとして狙うことが面白いんです、
日本人はそれに気づいていないんですよ。
今は、あまりにもミャンマーに目がいきすぎです。
と、所長は力説されていた。

そのJETROオフィスには、興味深い記事があった。
2011年10月24日号の日経ビジネス ”伸び行く世界都市”という記事である。
数十カ国がランキングされている中で、ダッカはなんと3位なのだ。
ちなみに、ベスト10は以下の通り。

1位:デリー(インド)
2位:ムンバイ(インド)
3位:ダッカ(バングラデシュ)
4位:ラゴス(ナイジェリア)
5位:ルアンダ(アンゴラ)
6位:重慶(中国)
7位:東莞(中国)
8位:スーラト(インド)
9位:コルカタ(インド)
10位:キンシャサ(コンゴ)

ちなみに、ダッカの前に訪れたヤンゴンは、28位。
弊社オフィスのあるベトナム・ホーチミンは39位となっていた。
この記事が発売されたときは確かに私も目を通していたはず。
しかしその時は近々ダッカに行く予定もなく、
3位にランキングされていることも大して気にも留めていなかった。

ところが、いざこの大都市に足を踏み入れてみると、
見事にデータと実感が一致したのである。データも侮れない。
市街を見渡せば、市内の中心に名門のゴルフ場がある。
また、オープンしたばかりの大きなショッピングモールは
一瞬、シンガポールやバンコクに来たと錯覚するぐらいの巨大さだ。
2011年にアジア開発銀行が公表した資料によると、1日2ドル未満で暮らす
貧困層は国民の75%を超える約1億1,800万人と推定されているが、
現地の繁栄した様子は裕福な人もかなりいる証拠だ。
道路もホーチミンよりだいぶ整備されているし、
走っている車もそこそこ。
日本からは一見縁遠いが、バングラデシュという国は
世界から見ればアパレルの生産拠点として最重要国であり、
ユニクロも世界目線で進出したことが至極当たり前に思えてくる。

では、アパレル以外の製造業に関するビジネス進出のチャンスはどうなのか?
と、自然と質問したくなる。
残念ながら、日本からの製造業進出の可能性は
他の近隣諸国に比べて今のところ低いといえる。
工業団地に必要なインフラは脆弱であり
電力の問題もミャンマーなどと同じように深刻だからだ。

こんなアンバランス感があり複雑なコントラストを感じる巨大都市ダッカ。
課題は山積だが、世界有数の豊かな土地を誇り
「黄金のベンガル」とも言われていた時代のように
膨大な人口と労働力が日々成長するマーケットを支えている事実はゆるぎない。
飲食、小売り、サービスなど、どれを見ても日本の色はほぼ全く感じない。
だからこそ日本にとっては未知のマーケットとして巨大であり、
どこよりも真っ新かもしれない。
今回のダッカ視察で、私自身が”知れば知るほど知らないことに気付く”ことを
思い知った。

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