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アジア人材活用のパターン

日本企業がアジア人材を活用する際には2つのパターンが存在する。
ひとつは日本でアジア人材を活用するパターンで、
もうひとつはアジア現地で採用するパターンである。

まず日本でアジア人材を採用するパターンから見ていこう。
来日しているアジア人材を採用する場合、
アジアの人びとがどのようにして日本に来ているのかを知ることが先決だ。
前回も説明したように、日本に働きに来ているアジアの人びとの大半が
外国人研修制度、技能実習制度を利用している。

よって、日本でアジア人材を採用するオーソドックスな手段としては、
外国人研修生の受け入れサポート会社を通して
研修生や技能実習生を紹介してもらう方法だろう。
ただし、受け入れ対象職種(機械・金属関係、建設関係、農業関係、
食品関係、繊維関係、漁業関係)は決められているので、
その職種に合致した企業のみ活用できる受け入れ手段である。

日本で働くことに意欲的なアジアの学生は、
現地の大学や日本語学校で日本語を習得し、
日本の大学へ留学することも多い。
そのため、日本の大学に留学しているアジア人学生を採用する方法もある。

日本の大学に留学する大半の学生はエリートである。
日本人に限定していては採用しにくい
高学歴の人材を獲得することも可能になる。
ただし、彼らのようなエリート層は、
日本の学生と同じく大企業志向、ブランド志向が多い。
よって、中小企業がアジア人の留学生を採用するのは難しいかもしれない。
しかし、日本の中小企業は世界に誇る技術や開発力を持つ会社も多い。
そうした独自性をアピールすることで
優秀なアジア人留学生を中小企業に目を向けさせることもできるはずだ。

次にアジア現地で人材を採用するパターンを見てみよう。
まず考えられる方法として、日本に留学経験のある学生や、
日本で就労経験のある人材を採用するケースである。

アジア現地で人材採用する際の最大のネックが日本語だろう。
日本に留学したり働いた経験のある人材であれば、
日本語を一からマスターする必要がないので
採用のハードルが下がることは間違いない。

加えて、日本で働いたことがあれば、
品質管理やビジネスマナーなどの日本型経営を経験していることになる。
アジア現地で採用して企業文化を一から教育する手間とコストを考えると、
日本での就労経験のある人材を採用するのはベストな手段かもしれない。

日本語を学ぶ現地の学生や就労者を採用する方法もある。
日本語を学ぶ人材の多くは、日本企業で働くことに憧れを抱いていることが多い。
よって、採用すれば意欲的に働いてくれることが多いだろう。
ただし、日本の大学に留学しているアジア人学生と同じく、
現地の人材もブランド志向が強い。
そのため、中小企業よりも大企業への就職を望む傾向が強いといえる。

アジア人材を現地で採用するパターンには、少し異なる形態もある。
それは、アジアの学生を日本で採用し、
日本で数年間に渡る就労経験を積ませた上で母国に帰国させ、
現地法人の立ち上げメンバーに抜擢する方法である。
将来のアジア進出を見据え、まず現地の人材を日本で受け入れて共に働き、
両国の文化や生活習慣、仕事に対する考え方などの共有を行うのである。
加えて日本のビジネス文化を徹底的に教え込ませる。
そうすることでアジア進出リスクを軽減することが可能だ。

中小企業が初めてアジア進出する際は、
初めての土地でビジネス活動をするので右往左往するのが当然だ。
その点、アジア人材を前もって日本で受け入れて共に働いておけば、
相手国のことを事前に情報収集できる。
進出前の心構えや事前準備としても得策だ。

また、念願のアジア進出を果たした際には、
日本側とアジア側の橋渡し役となるスタッフの存在が不可欠となる。
その際にも、日本で共に働いたアジア人スタッフを
両国のやり取りを仕切る中心メンバーに抜擢することができる。
アジア進出のリスクを軽減し、
スムーズな現地法人の立ち上げを実現するためにも、
アジア人材を日本で受け入れる方法は得策といえるだろう。

次回からは実際に、アジア人材を受け入れる際に誰もが悩む
「マネジメント」について、2回に分けてお伝えしようと思う。

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