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過度に期待される日本人と日本ブランド

日本や日本人に対しては、総じて世界中の人が好印象を持っている。
世に出回っている関連の書籍、メディア情報や調査レポート、アンケートの類も実際そういう傾向である。
また、アジアや世界で実際に旅したりビジネス活動していると、仮に短期間の
滞在であったとしても、少なからずこのことを実感する。
まさしく日本ブランド強しである。

もちろん、国によって温度差はある。
とりわけカンボジアやミャンマーなどの親日国と言われる国を訪れると、私達が日本人であると気付いた瞬間に相手の態度が変わるのには、正直驚く。
特にカンボジアは、空港に降り立った時から既にそれを感じる。
入国審査の人がパスポート見た瞬間、急にニコニコ顔になる。
そして、片言でこんにちは、と話し掛けてきては同僚と楽しそうにするのである。
カンボジア人の友人に言わせると、本当に日本が好きなのだそうだ。

それに比べて、正直、ベトナムは”親日国”という感じは、マクロ的な感覚では
しない。
もちろん、部分部分では強烈な親日の人はいるのだが。
ベトナムで強く感じる事は、日本商品のブランド、品質への信頼感の高さだ。
街中に溢れるバイクしかり、トヨタの車、電気製品など・・・。
単純に日本人への信頼感より、日本の商品への信頼感が上回っていると
感じる。
この現実は嬉しいやら悲しいやらである。
商品だけでなく日本や日本人の良さを、世界で等身大でありのままに伝えたい理解してもらいたいと考える私としては、ベトナムという国は、まだまだ中途半端な状態なのだ。
だからこそ、この国に当社が提唱しているジャパンスタイルを一刻も早く広めていきたいのである。

もう一つ、日本がベトナムから期待されていると感じる事がある。
それはビジネスのやり方についてだ。
商品に抱くイメージから連想して、日本人に対して良い印象を持っている人達がいる。
こんなに品質がよく優れたものを作る日本人は、さぞかし仕事レベルが高く
洗練されているのだろう。
技術力は素晴らしいし、チームワークが得意で勤勉。
そして、世界の経済大国になった事実などがあいまって、日本や日本人の事を尊敬している人である。
こういう感覚の人は、ビジネスで長い間付き合っていても、良好な関係は
崩れにくい。
多分こういう部類の人は商品に対する期待感が強く、人に対しては連想の域であり、最初から過度の期待感は持っていなくて、徐々にお互いの信頼関係が醸成されるからだと思う。

一方厄介なのは、その逆で日本人に過度の期待を持っている人たちだ。
こういうベトナム人は、総じて日本人の事を良く知らない。
日本人の仕事のやり方や実際の仕事ぶりも正確に理解していないし、ビジネスで日本人とも付き合った事も無い人(当然、ベトナムにはこういう人が大半)である。
実は、彼らと油断して付き合っていると大変な事になることがあるのである。

例えば、日本でも顧客の期待値が先行しすぎると少しのミスでも大クレームに繋がりやすい。
顧客満足度の向上の視点で言えば、顧客の期待値を少しでも上回る対応が
できれば、これは一級品と言える。
しかし、サービスを提供する側の実力以上に相手方の期待値が先行しすぎると、そのしっぺ返しを自分が受ける事になる。
これと似たような構図はベトナムでもよく発生する。
一部のベトナム人は勝手に、日本人は仕事ができて当たり前と過度な期待を
抱きすぎている傾向が強い。
自分のミスや自分の仕事のいい加減さは棚に上げて、何か日本人側に粗相があると、しつこく絡んでくる。
自分は時間にルーズなくせに、日本人が遅れるのはおかしい。こんな具合だ。
要は、”私が期待している日本人レベルで対応できないあなたが悪い”
”だから取引しない。買わない。付き合わない。”
こんな感じで、しつこく突っかかってくるのである。
比較で言うと、上質の対応が出来ない平均的な日本人でもベトナム人の平均値と比べると大分上回っているのにである。

律儀に正攻法でこういうビジネス環境で成功を収めたければ、どこからも
すき無く完璧にビジネスをこなせばよいのだが、これは誰彼できることではない。
また、日本人は気が休まる暇も無い。
アジアに出て行ってなおの事、ストレスが増大。こんな事態に陥る。

私も長年、アジアの人たちと色々とビジネスをやってきたが、どういう考え方、
心構えをもってアジアでビジネスするのが良いのか試行錯誤してきた。
まだ、結論と言う事ではないが、期待されすぎる日本人を演じようとしすぎて
墓穴を掘らないこと。
とことんまで、自信が有るのであれば、そうすればよい。
しかし、普通に考えれば、一旦、日本ブランドを背中から降ろして、ベトナム人、日本人といった関係もなくし、人間同士の付き合いをベースに、お互いの違いをよく認識し、気楽に考える。
そして、少しずつ人間関係を構築する。
こんな感覚がお互いに長続きする秘訣かとも思っている。

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