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オンラインで営業活動とビジネスが劇的に変わる

BtoBであろうが、BtoCであろうが営業が商品やサービスを売ることは
世界共通である。
営業は『もっとも人間力が磨かれる』仕事のひとつであると日本ではよく知られている。
その一番の理由は、人間力を最大限に発揮して営業活動を行い、
顧客との信頼関係を勝ち取ることで商談の90%以上は決まるからである。
もちろん、商談の成功には商品が優れていることが重要だし、自分の会社の信用、
つまりブランド力も大切だ。
また、顧客攻略のノウハウといったような営業のテクニック論など、
その他さまざま重要な要素はある。では、人間力で勝負とはどういうことか考えてみる。
人間力とはICTがデジタル的であるということに対比して、
アナログ的であるかどうかと言い換えることができる。
現代の営業スタイルにおいて、このアナログ的な要素と
デジタル的な要素を改めて考えてみよう。

ここ最近の営業活動の世界ではICT最先端ツールを駆使していることが大半だ。
スマホで予定のチェック、スマホで訪問場所及び地図を確認することは当たり前。
プレゼンはパワーポイントで作成し、時には動画も駆使する。
タブレット端末を巧みに使いこなし、商談を展開していく。
仮に営業商談でICTツールを使わなかったとしても、その説明資料などは
ICTツールで作られているケースが大半である。
また、組織的営業活動はその活動の行動管理やプロセス管理もとても重要だ。
ここ数年、SFA、CRMなどのICTによる営業活動管理、顧客管理などは
今や当たり前の世界である。
今の日本のような先進国で、営業の予定やプロセス管理を手帳のメモだけという
人はシニアには多いだろうが、一般的ではない。
現代の営業活動を振り返ると、かなりのシーンでICTは当然のごとく使われている。
もはや、これ以上の営業活動の効率化やより次元の高い商談を求めることは難しいのだろうか?

もう一度、別の視点で営業活動の基本パターンを振り返ってみる。
顧客接点ゼロという状況から考えてみるとわかりやすい。
営業の第一歩は、なんらかの手法で顧客候補を見つけることが第一歩である。
問い合わせや紹介が理想だが、今でも変わらずテレアポや飛び込みは
時には有効だ。
こういう行為は、営業としてのメンタルトレーニングも兼ねている。
アナログ的営業の典型ともいえるだろう。
そこに加えて、最近ならば企業ならホームページにダイレクトにメールなどで
アプローチすることもできる。
例えば、住宅販売の場合でも、自社のホームページの充実は欠かせない。
住宅販売で書籍を使った成功事例も数多くある。
次は、潜在顧客が見つかったら、訪問の約束をして、顧客との面会に向かう。
BtoB、BtoCそれぞれの商談の進め方に違いはあるが、
冒頭で書いたように、いずれの場合も営業では人間力こそ最大の武器である。
この人間力は人間的魅力とも言えるが、具体的にどういうことだろうか。

初訪であれば、第一印象は絶対だ。
身だしなみ、マナーなど、気を配ることは山ほどある。
初訪で好印象ならば、次はクロージングに向けてのフォロー活動だ。
もちろん、一発クロージングが望ましいが、平均的には何回か顧客との面会となる。
ある灼熱の日本の夏のシーンを考えてみよう。
今でこそクールビズが当たり前になったが、一昔前までは、どんなに暑くても、
ネクタイにスーツがスタンダード。
極端な話、顧客に会う寸前までネクタイを外し、スーツの上着は手でわしづかみ。
顧客に会うときには、涼しい顔をして、顧客に一生懸命さと誠実さをアピールする。
少なくとも10年以上前の日本の基本的な営業スタイルはこんな風景が当たり前だった。
冬は冬で、どんなに寒くてもコートを着ずに走り回り、元気さと気合をアピールしていた。
私が社会人駆け出しの頃は、少なくともこういう環境を肌で感じてきた。

今は何が変わったのか?
そもそも営業活動は楽になったのか?

クールビズになって、灼熱の夏の季節だけは営業活動もライト感はある。
しかし、今でも全く変わらない風景もたくさんある。
それは、嵐であろうが雪であろうがどんな天候でも顧客に訪問する。
時には、満員電車に詰め込まれて移動し、乗り継ぎにピリピリしながら、
移動だけで神経が磨り減る。
例え、顧客が遠方の地方でも今の営業の基本パターンは、
まずお客さんの場所に会いに行くことから始める。
この風景こそ、いかにも一生懸命であり、誠実でアナログ的な象徴だ。
もう滅多に見かけなくなったが「灼熱の中のスーツにネクタイ」も同様である。

営業はお客さんに直接会うのが当たり前である。
ところが、この当たり前を変えると営業活動は劇的に変わる。
海外とのビジネスで考えると、とてもわかりやすい。
仕事スタイルの変化に対しての理解度もはやい。
海外での商談では計画通りに顧客に会うことすら大変だ。

当社が活動しているベトナム国内のBtoB営業を例にあげて説明しよう。
大都会で知られるホーチミンだが、いまだ電車は存在しない。
当然、タクシーなどの車移動になるが日本のように充実したサービスは期待できない。
渋滞やスコールで時間の遅延要因は山のようにある。
ベトナム人は、常にそういう環境なので、約束時間はあってないようなものだ。
日本では考えられないドタキャンも発生する。
ところが、彼らには言い訳がたくさんある。
先ほどの渋滞やスコールだけでなく、不便な環境だからこそ言い訳がいくつも
ピックアップできるのだ。
また、営業に通訳も必須になる。
英語ができる相手でも、込み入った話はやはり高度な越日の通訳が必要だ。
そして、その通訳の手配も大変だ。
ある時は遠方のハノイでの用事となっても、通訳を連れて行くにはコストがかかる。
また、ベトナム側と日本側での打ち合わせも時には必要になる。
日程調整して、飛行機の手配をする。
ひとつの商談がとても大がかりだし、コストがかかる。
当社が、こんな環境下で長年、営業活動、ビジネス活動をしてきて、
自然と取り組んできたのがオンラインでの商談だ。

当社は、今のようなスカイプやクラウドサービスがある時代の前からオンラインでの
コミュニケーションに取り組み続けてきた。
最初は、ポリコムという世界トップシェアのTV会議システムを使ってきた。
ICTを本業としているため、社内の会議などでの抵抗感はゼロ。
ベトナム人のお客様も抵抗感はない。
面白がる人は多いが、不快感を示す人はほぼいない。
なぜ、抵抗が少ないのか?
実はベトナム人はとても合理的だからだ。
不便が当たり前だから、合理的かつ効率的なものはすぐに受け入れることができる。
「やっぱり会わなきゃ駄目でしょう」とは言わないし、そんな日本人的なことは
向こうも期待はしていない。
逆に飲み会などで共に杯を酌み交わすことは何よりも重要だ。
「もっとお互いを知ろう」という意識は日本よりも非常に高い。
メリハリが利いていると実感する。
合理的だが、人付き合いはとてもウエットなのだ。

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一方、今の日本を見てみよう。
すでに、先進国である故、ICTの進展により、
オンラインでビジネスをするには絶好のインフラが用意されている。
しかし、日本の営業活動はなかなか劇的な変化はしない。

なぜか?

最大の理由は営業という活動を旧態依然のままアナログ的なものとして
思い込んでいるからである。
営業は人間臭く、一生懸命汗をかいて(あるいは寒さに耐えて)、
顧客に会いに行くものだ、と。
日本の営業に対する顧客の期待感もここにある。
そうでなければいけないという固定観念が染みついているのだ。
海外からICT活用という合理的視点から見て、
一旦アナログの重要性を無視して考えてみる。
すると、営業商談はオンラインで行うのがとても効率的で売る側と買う側両方に
多大なるメリットがある。
今のICT活用のテーマの中でも、簡単に効果がでるベストの選択だ。
この先将来は、売る側と買う側共にAIが商談するかもしれない。
この点は未来の議論として置いておきたい。

今こそ、営業をオンライン化ですることが、日本のビジネススタイルを劇的に
変革する起爆剤になりえるのである。
単純なところからメリットを考えてみる。

・訪問先への移動時間が不要になり有効活用できる。
・移動交通費が不要になる。
・天気に左右されないため余計な苦労がなくなる。
・交通手段のアクシデントも気にしない。

さらにメリットとして次のような商談機会の質の向上を実現できる点もある。
・同行者(オンラインでの)が柔軟に調整できる。
・部下の商談を上司がいつでもフォローできる。
・OJTの絶好の場でもある。

そして、当社の体験から以下も大きなポイントとして考えている。
・世界中どこからでも、商談ができる。
・したがって、ビジネスが楽しいし、効率的。
・アシスタントを連れていく必要がない。
・通訳を連れていく必要がない。
挙げだしたら、まだまだメリットはある。

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ここで、デメリットを考えてみよう。
やはり、アナログ的な人間的魅力が損なわれるのか?
顧客もこちらも、社会全体がICTのメリットを享受して、
オンラインですべての営業商談が進むようになれば、
国の課題でもあるシニアの活躍の場の創造、テレワーキングの推進、
在宅勤務の普及などすべてが繋がって解決に向かうはずだ。
では、差別化要素ともいえるアナログ的な強みはどこで発揮する?
それこそ、いくらでも工夫ができる。
何も営業商談の場面である必要はない。
人と人がコミュニケーションをアナログ的に行い信頼関係を構築する方法はいくつもある。
ゴルフでもよいし、スポーツでも飲み会でも社会貢献活動でもよい。
お客さんがそれでも、直接の面会だけを好むのであれは、そういう営業スタイルに
特化した企業が生まれるだろう。
ただ、それはBtoCの世界であって、BtoBではありえないだろう。
なぜなら、企業活動は、本来は常に合理的、効率の追及であり、
無駄の排除が原則だからだ。
今時、ホームページを持たずにビジネスを行う企業が少数派であるように、
オンラインで営業をしない企業がごく少数派になる時代が近づいている。
アナログを大事にするからこそ、有効にICTを使うのだ。

最後に、長年の経験から参考に記載しておきたい。

<オンラインを使うと商談時間は少なくとも2/3になる>
 これは、不必要な会話がなく、間に気を使わないからだと思う。
 商談は大抵1時間ほどの設定で実施している。
 実際、30分で用事が終わることがあっても、
 なぜか直接の面会だと1時間ぐらいになる。
 オンラインだと合理的な脳が働くのだ。

<時間にはルーズになる>
 これも、わざわざ、お越しいただいて…というハードルが下がるからだろう。
 開始前に待つことも少なく、開始はギリギリが増えるのである。

<営業資料などを自由自在に共有して見せることができる>
 もちろん、いつでもメールなどで相手に送ることは当たり前。

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オンラインを使うと、何よりも、驚く人が多いということだ。
 思ったより、画像綺麗だね。これ便利だね。
 一度体感するとさまざまな活用シーンが頭に思い浮かぶ。
 「あんなことに使えるかも」という発想が生まれてくる。

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アナログでしないといけない、するしかないという思い込みがなくなった瞬間、
泉の如く、アイデアが湧いてくる。
答えは、ほとんどの経営者の頭の中にあるはずだ。
壁がなくなれば変化は速い。

日本が世界に先駆けて、オンラインを駆使し、人間味あふれるビジネス活動を
実現して、世界のお手本になれる絶好の機会が到来しているのである。
特に、地方のシニアが海外で活躍するシーンとしてはぴったりである。
世界から見て、働きすぎ、労働生産性が低いと言われる日本。
必ずしも、そういう論調が当たっているとも思わないが、
もっとスマートに人間らしさを発揮してビジネスをすることには大賛成である。
オンライン商談を日本が世界にリードして広げたい。
スマートでかつ人間らしいビジネスのお手本の国として日本が世界に存在感を示す
絶好のチャンスでもある。

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